相変わらずこの政権の傍若無人ぶりには驚かされます。
議論を尽くすべき刑法の基本を大変容させる共謀罪を参議院の法務員会の決議無く、本会議に上程し、強行採決してしまいました。 こんなルール無視の政権はさすがに明治憲法下でもなく恐れ入りますね。
共謀罪の立法理由のパレルモ条約批准のためと言う大前提が当の国連関係者に否定され、「テロ等防止」目的が、何らそのような目的に沿った法律上の工夫は無く、単に「言葉でつる役割」を言い、朝三暮四を地でゆくような詐術であり、中身の検討には入らず、200を超える刑罰法規に予備罪を創設するのですから、まともな法律家だったら疑問を持って当然ですね。
さらに、このように処罰範囲を一挙に100倍あまりしても、実際に全部を摘発することは、人的物的資源的に不可能であり、そうすると、何故かくも無茶苦茶な立法をしたのかというと、監視社会を完成させて、逮捕権乱用による治安維持を狙っているとしか思えません。 要するに共謀罪によって仮に逮捕・拘留したとしても、起訴までに持って行くことは難しく、判決になれば無罪が続出すると思われます。 つまり、予備罪というのは、明白な犯意を外部に現す「実行行為」や「行為の結果」はなく、その以前の、単に一過的・流動的な人の考えそのものという目に見えない物が処罰の対象となるのですから、連判状などのアホみたいな証拠が無い限り、つねに合理的疑いが残りうることが宿命づけられているからです。
でも、警察権力はそれでも構わないのでしょう。何故なら、そのような構成要件の曖昧な事件であれば、客観的証拠がなくても捜査側の例え作文でも、資料をつけて令状請求すれば、裁判所はそれを否定する根拠は持ち合わせていませんから、かなりルーズに捜索令状でも、逮捕状などでも与えるのです。それが今日本の現実の刑事裁判実務です。 それによって、起訴しなくても20日あまり身柄拘束すれば、その人は職などを失いかねませんし、例えばマンション建設に反対していたグループの人たちを威嚇することはできるからです。 治安維持法は実際そのような運用をされて、戦争への道を確立したのであり、有罪判決をとることなんて主目的でも何でもなかったのです。
で、こんな法律が成立した。
僕らはどうすればいいのか。
一つ一つ実務家として不当な運用をつぶしてゆき、無罪判決の山を築かねばなりません。
また、政治の見方も変えなければなりません。 個々の議員の好き嫌いではなく、政党ごとに数として判断し、立憲主義・民主主義の一点で政治主張の潮流を作らないといけないと言うことです、もうあなた任せではなく。
古狸の僕もさすがに怒り心頭です。
皆さんはどうですか。